無駄に広いテラスにソファーを出し折坂悠太、サニーデイサービスをぼーっ、と何周も聞いています。
横には猫。
僕以上のスペースを占領し昼寝、生まれつきのアレルギー体質に加え最近のアフリカからの黄砂に症状はひどくなり小さい鼻の穴はいっぱいの鼻水で辛そう。
取っても取っても気付けばまた、その繰り返し。また先生に薬を変えてもらうようです。
キッチンからはお菓子を焼く良い香りが、昨夜一生懸命ロールケーキの動画を見ていたのできっとそれでしょう。
〜〜〜
こんなとてもとても平和な毎日が始まってからもうしばらく経ちました。
3月末から始まったここギリシャのロックダウン、出口のないトンネルに迷い込んだようで不安な日々を過ごしていましたがやっと少し明るいニュースが。
5月4日から段階的に外出規制を緩和していく事になるそうです。
長かった。また終わっていないけどついにこの長いトンネルにも光が差してきました。
しかしながら周りを見渡せば既に稼ぎ時の夏シーズンの休業を既に決めた所、健闘虚しく廃業してしまった所など観光が全てと言っても過言ではないギリシャの産業は壊滅的なダメージを受けはっきり言ってお先真っ暗状態。
僕の働くギリシャ屈指の高級リゾート地、ミコノス島もフランス、イタリア、ドイツ、ロシアからの観光客をターゲットに商売をしているところが殆どでそれらの国の人たちがこぞって早速海外旅行、とは到底思えないので過去に例がないくらい悲惨なシーズンになるのではと今から心配しています。
仕事で一時帰国中していた日本からこちらに戻ったのは2月4日の事。
あの頃は武漢の状況こそ酷かったものの日本はまだ感染者はごく少数、ヨーロッパに至っては危機意識は皆無で遠い遠い汚い国、中国の一部で起こっている事だと冗談にしていました。
もちろん僕も含めてこの見えない敵に舐めてかかってまさか世界がこんな大混乱に陥ろうとは誰も予想だにしませんでした、、、
この時点で世界をミスリードした中国とWHOの責任は本当に大きいですよね。
ギリシャは速攻の都市封鎖だったので最初は皆えっ?っていう戸惑いでしたが結果、蔓延を防ぎ他のヨーロッパ諸国に比べだいぶ状況はマシなので大方の人は政権の判断を正しかったと思っている様です。
僕の家は飲食店や衣料店が立ち並ぶ繁華街にあるのでいつもは煩く思う街の騒音もいざなくなると寂しいもんです。
暖かくなってくると頭を悩ますゴミ捨て場からの悪臭も車からの排気ガスもレストランの煙突から立ち上る黒煙もありません。
大気も海も相当きれいになった事でしょう、この期間でどれだけ地球が浄化され寿命が延びた事だろうと、そう思います。
それはとてもいい事だけれど人間活動が止まると困る生き物たちもまたたくさん出てきて、、、世界ってとても複雑です。
前述した様に家の周辺には飲食店からのおこぼれで生活している野良ちゃん達がたくさんいるのでそれこそ予告なしで突如食べるものに困る状態に。
ギリシャの人たちは優しいのでこんな状況下でも自分の犬の散歩時に一緒に猫のカリカリを持ち、所々に置かれているご飯皿に分けているので僕も人と極力接触しない様夜な夜な真似してやってみたりしていますが、野良も人間も今より状況が良くなるまではあと少しの辛抱です。
今は我慢しかないです。
この後に及んでこの新型コロナは大して危険じゃないとか、致死率が低いからとか、どこから引っ張ってきたかよく分からない陰謀論みたいなのを持って出して言ってる人がいますがこれだけ亡くなっている人が多い中でよくそんな事言えるなと心底呆れますね。
日本にいる母は基礎疾患があり、自らも冗談めかしてはいるもののかかったらイチコロだと言っているので毎朝起きたらすぐLINEをチェックし、それから実家のある市が発信する情報を確認し一安心、それが1日の始まりのパターンになっています。
そんな事をしつつテレビをつけニュースに映し出されるのは開店前のパチンコ屋に長蛇の列。。。
〜〜〜
つい先日洗面所にいるとどこからともなくミャーミャーとなく声に気づきました。
まさかと思い外へ出てみると案の定子猫の鳴き声、それもたった今この世に誕生したばかりの小さな小さな命でした。
薪置き場にかけているビニールシートの下から二匹がはみ出し泣いています、親猫の姿が見えなかったので僕もうかつに近づいてしまうとじっともう一匹を抱きかかえていたお母さんが堪えきれず逃げていってしまいました。
、、、すごい後悔。。。自分の無神経さに嫌気がさしました。
まだ目も開いていない3匹の子達。
ひとまず適当なダンボール箱に湯たんぽとお湯を入れた瓶を敷き詰めその上にペットシーツを、それから昔子猫に人間の匂いがつくとお母さんに見捨てられると聞いたことがあったので手袋をして子猫達を移しました。
異変に気付き、泣きじゃくっていた3匹ですがお互い箱のなかで身を寄せ合うとピタッと泣き止みました。
何をどうすればいいか全くわからなかったので近所の動物病院へ行きアドバイスを仰ぎ粉ミルクと哺乳瓶を購入。
なんでも子猫は自分で体温調節、排泄ができないので2時間ごとにお湯を取り替えコットンでお尻に刺激を与えオシッコを促すのだそう。
この日は肌寒かったので気持ちとしては家の中に入れてあげたかったのですがお母さんが迎えにくる事を信じ最低限のことだけをしてなるべく離れて見守ることにしました。
1回目の交換に向かうと既に黒い子は姿を消していました。
残り2匹を優しく持ち上げミルクを飲ませますがこれがなかなか難しい。なんせ口が小さいのでもらった哺乳瓶の先が上手く口の中へ入らないんですね。
逆流しない様にごく僅かずつ飲ませた後肛門をつんつんするとおしっこもチョロチョロと出てきました。母猫がこうして舐めて刺激して排泄させるみたいです。
こうして2回か3回繰り返しているうちにもう1匹居なくなっており残りは薄茶の子のみに。
でもそれからはしばらく動きがなく陽もすっかり落ちてしまいました。
気温もだいぶ下がりさすがにこの寒空に放って置くわけにはいかないので次の交換時までに何も変化がなければ家の中へ入れ新しい家族として受け入れようと決めました。
そしてまた2時間が経過し最後の望みを胸に洗面所から外を覗くとそこには最後の子の首を口で掴んだお母さんの姿が。
一瞬だけこちらを振り返りそしてあっという間に高い塀を飛び越えてどこかへ消えていきました。
ふと時計を見ると離れ離れになってから8時間も経った後でした。
母強し。
忘れずに、危険を犯しながら最後の一匹まで迎えに来た母猫の姿にとても感動しました。
あれから一度も彼女らの姿を見かけることはありませんがきっとこの界隈で仲良く暮らしている事でしょう。
僕らはそれを信じ、また色々な場所の猫皿にご飯を補充しに出かけます。
やっぱり家族の無事が一番、何よりもどんな事よりも大事。そうしていれば結果的に他人も思いやる事につながり困難を皆の大きな力で乗り切れると、そんな事を改めてあの母猫から学び今はただ辛抱強く耐えて自分にできる事をやろうと思います。
また家の周りの野良猫、野良鳥たちがお腹を空かして飯をくれ、と鳴いています。
ここで暮らし始めて早10年、僕のギリシャ語能力は全く伸びません。
猫語や雀語の方が今でもよっぽど得意のままです。
やれやれ。
筆 タカキス
横には猫。
僕以上のスペースを占領し昼寝、生まれつきのアレルギー体質に加え最近のアフリカからの黄砂に症状はひどくなり小さい鼻の穴はいっぱいの鼻水で辛そう。
取っても取っても気付けばまた、その繰り返し。また先生に薬を変えてもらうようです。
キッチンからはお菓子を焼く良い香りが、昨夜一生懸命ロールケーキの動画を見ていたのできっとそれでしょう。
〜〜〜
こんなとてもとても平和な毎日が始まってからもうしばらく経ちました。
3月末から始まったここギリシャのロックダウン、出口のないトンネルに迷い込んだようで不安な日々を過ごしていましたがやっと少し明るいニュースが。
5月4日から段階的に外出規制を緩和していく事になるそうです。
長かった。また終わっていないけどついにこの長いトンネルにも光が差してきました。
しかしながら周りを見渡せば既に稼ぎ時の夏シーズンの休業を既に決めた所、健闘虚しく廃業してしまった所など観光が全てと言っても過言ではないギリシャの産業は壊滅的なダメージを受けはっきり言ってお先真っ暗状態。
僕の働くギリシャ屈指の高級リゾート地、ミコノス島もフランス、イタリア、ドイツ、ロシアからの観光客をターゲットに商売をしているところが殆どでそれらの国の人たちがこぞって早速海外旅行、とは到底思えないので過去に例がないくらい悲惨なシーズンになるのではと今から心配しています。
仕事で一時帰国中していた日本からこちらに戻ったのは2月4日の事。
あの頃は武漢の状況こそ酷かったものの日本はまだ感染者はごく少数、ヨーロッパに至っては危機意識は皆無で遠い遠い汚い国、中国の一部で起こっている事だと冗談にしていました。
もちろん僕も含めてこの見えない敵に舐めてかかってまさか世界がこんな大混乱に陥ろうとは誰も予想だにしませんでした、、、
この時点で世界をミスリードした中国とWHOの責任は本当に大きいですよね。
ギリシャは速攻の都市封鎖だったので最初は皆えっ?っていう戸惑いでしたが結果、蔓延を防ぎ他のヨーロッパ諸国に比べだいぶ状況はマシなので大方の人は政権の判断を正しかったと思っている様です。
僕の家は飲食店や衣料店が立ち並ぶ繁華街にあるのでいつもは煩く思う街の騒音もいざなくなると寂しいもんです。
暖かくなってくると頭を悩ますゴミ捨て場からの悪臭も車からの排気ガスもレストランの煙突から立ち上る黒煙もありません。
大気も海も相当きれいになった事でしょう、この期間でどれだけ地球が浄化され寿命が延びた事だろうと、そう思います。
それはとてもいい事だけれど人間活動が止まると困る生き物たちもまたたくさん出てきて、、、世界ってとても複雑です。
前述した様に家の周辺には飲食店からのおこぼれで生活している野良ちゃん達がたくさんいるのでそれこそ予告なしで突如食べるものに困る状態に。
ギリシャの人たちは優しいのでこんな状況下でも自分の犬の散歩時に一緒に猫のカリカリを持ち、所々に置かれているご飯皿に分けているので僕も人と極力接触しない様夜な夜な真似してやってみたりしていますが、野良も人間も今より状況が良くなるまではあと少しの辛抱です。
今は我慢しかないです。
この後に及んでこの新型コロナは大して危険じゃないとか、致死率が低いからとか、どこから引っ張ってきたかよく分からない陰謀論みたいなのを持って出して言ってる人がいますがこれだけ亡くなっている人が多い中でよくそんな事言えるなと心底呆れますね。
日本にいる母は基礎疾患があり、自らも冗談めかしてはいるもののかかったらイチコロだと言っているので毎朝起きたらすぐLINEをチェックし、それから実家のある市が発信する情報を確認し一安心、それが1日の始まりのパターンになっています。
そんな事をしつつテレビをつけニュースに映し出されるのは開店前のパチンコ屋に長蛇の列。。。
〜〜〜
つい先日洗面所にいるとどこからともなくミャーミャーとなく声に気づきました。
まさかと思い外へ出てみると案の定子猫の鳴き声、それもたった今この世に誕生したばかりの小さな小さな命でした。
薪置き場にかけているビニールシートの下から二匹がはみ出し泣いています、親猫の姿が見えなかったので僕もうかつに近づいてしまうとじっともう一匹を抱きかかえていたお母さんが堪えきれず逃げていってしまいました。
、、、すごい後悔。。。自分の無神経さに嫌気がさしました。
まだ目も開いていない3匹の子達。
ひとまず適当なダンボール箱に湯たんぽとお湯を入れた瓶を敷き詰めその上にペットシーツを、それから昔子猫に人間の匂いがつくとお母さんに見捨てられると聞いたことがあったので手袋をして子猫達を移しました。
異変に気付き、泣きじゃくっていた3匹ですがお互い箱のなかで身を寄せ合うとピタッと泣き止みました。
何をどうすればいいか全くわからなかったので近所の動物病院へ行きアドバイスを仰ぎ粉ミルクと哺乳瓶を購入。
なんでも子猫は自分で体温調節、排泄ができないので2時間ごとにお湯を取り替えコットンでお尻に刺激を与えオシッコを促すのだそう。
この日は肌寒かったので気持ちとしては家の中に入れてあげたかったのですがお母さんが迎えにくる事を信じ最低限のことだけをしてなるべく離れて見守ることにしました。
1回目の交換に向かうと既に黒い子は姿を消していました。
残り2匹を優しく持ち上げミルクを飲ませますがこれがなかなか難しい。なんせ口が小さいのでもらった哺乳瓶の先が上手く口の中へ入らないんですね。
逆流しない様にごく僅かずつ飲ませた後肛門をつんつんするとおしっこもチョロチョロと出てきました。母猫がこうして舐めて刺激して排泄させるみたいです。
こうして2回か3回繰り返しているうちにもう1匹居なくなっており残りは薄茶の子のみに。
でもそれからはしばらく動きがなく陽もすっかり落ちてしまいました。
気温もだいぶ下がりさすがにこの寒空に放って置くわけにはいかないので次の交換時までに何も変化がなければ家の中へ入れ新しい家族として受け入れようと決めました。
そしてまた2時間が経過し最後の望みを胸に洗面所から外を覗くとそこには最後の子の首を口で掴んだお母さんの姿が。
一瞬だけこちらを振り返りそしてあっという間に高い塀を飛び越えてどこかへ消えていきました。
ふと時計を見ると離れ離れになってから8時間も経った後でした。
母強し。
忘れずに、危険を犯しながら最後の一匹まで迎えに来た母猫の姿にとても感動しました。
あれから一度も彼女らの姿を見かけることはありませんがきっとこの界隈で仲良く暮らしている事でしょう。
僕らはそれを信じ、また色々な場所の猫皿にご飯を補充しに出かけます。
やっぱり家族の無事が一番、何よりもどんな事よりも大事。そうしていれば結果的に他人も思いやる事につながり困難を皆の大きな力で乗り切れると、そんな事を改めてあの母猫から学び今はただ辛抱強く耐えて自分にできる事をやろうと思います。
また家の周りの野良猫、野良鳥たちがお腹を空かして飯をくれ、と鳴いています。
ここで暮らし始めて早10年、僕のギリシャ語能力は全く伸びません。
猫語や雀語の方が今でもよっぽど得意のままです。
やれやれ。
筆 タカキス
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